紀伊半島の環境保と地域持続性ネットワーク 紀伊・環境保全&持続性研究所(三重県津市)
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 三重県津市神戸の新池 

 新池という名前のため池は、津市だけでも幾つかある。これらのため池がいつ頃から後に造られたために、このような画一的な名称が付けられたのであろうか。その他の名前のため池を含め、それぞれの築年の調査は今後の課題である。

 三重県津市神戸の新池へ至る農道の入り口へは、中勢バイパスの津市神戸の最終地点から、23号国道に向かう県道657号線に入って約1.5km、JR阿漕駅から県道657号線に入って約2kmのところにある。この入り口からため池までは、約1.2kmの狭い農道が続いている。車での通行は、農業用車両の妨げになり、また、歩いた方が谷津田のたたずまいを十分に味わうことができるので、止めた方がよい。

 ため池までの農道からの景観は、都市化された地域に隣接していながら、谷津田の佇まいを良く残している。

 谷津田の周辺は雑木林と孟宗竹の竹林からなっている。近年、里山に孟宗竹などの竹林が繁茂している光景が多いが(クリック)、農道ぎわに実に良く手入れされた孟宗竹の竹林が見られる。タケノコ生産か、竹炭の生産か、それとも竹細工の素材として生産しているのかは分からないが、筆者は、竹林がきちんと管理されているのを初めて見て、うれしくなった。

 しばらく、曲がりくねったコンクリートの農道を行くと、最も奥まったところにため池の堰堤が見えてくる。時期がちょうど田植え前だったので、水田わきの水路をため池からの水が勢いよく流れ、堰堤直下の放水孔にはため池から水がほとばしり出ていた。

 堰堤に登って、池周辺の新緑の美しさに感動した。ため池の周囲は雑木林で、4月中旬は若葉が萌え出る時期であり、樹種によって若葉の色彩が僅かずつ違っている。池の奥には、カルガモらしき水鳥が数羽遊泳していた。深い谷津田と静かなため池の環境と景観は保全されるべきだと思う。

 堰堤側に赤褐色のものがかなりの面積で吹き寄せられていたので、はじめは鉱滓かなと思い、素晴らしい景観にそぐわず非常に残念な気がした。しかし、よく見ると植物性のものであった。

 

(写真をクリックすると拡大します)
津市神戸の新池に行くまでの谷津田の道
 新池は谷津田の奥深いところにある。曲がりくねった農道をまわりの景観を楽しみながら、ハイキング気分で歩いた。
谷津田のわきの竹林
 新池へ通ずる谷津田の農道ぎわの孟宗竹の竹林が、きれいに管理されていた。一定の長さに切りそろえられた竹が積まれ、下草もきれいに刈られていた。
新池の堰堤
 谷津田の奥に新池の堰堤が見えてくる。田んぼの脇の水路には、ため池から放水された水が気持ちよく流れていた。  
新池と岸辺の雑木林
 堰堤の上から見た静かな新池の水面と周辺雑木林の新緑が美しい。   
新池の岸辺に集積したもの
 堰堤側に吹き寄せられた赤褐色のものを良く見ると植物性のものであった。小さなツブツブが塊になっているが、何であろうか?
 2008年10月に、津市の岩田池でも池面が茶褐色になる現象が見られ、水生シダの1種のアカウキクサ属植物であった。新池で見られたものもアカウキクサ属植物である。葉の形や盛り上がり方などからオオアカウキクサと考えられるが、外来のアゾラもあるので断定できない。   

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